L2スケーリングの課題がビットコインとイーサリアムのセキュリティを脅かす可能性
ビットコインとイーサリアムという世界最大のブロックチェーンは、ネットワークのスケーリングに関して重要な課題に直面している。
ユーザーとトランザクションがレイヤー2(L2)ソリューションに移行するにつれ、基盤となるレイヤー1(L1)のセキュリティと持続可能性が脅かされ、マイナーやバリデーターへの手数料や報酬が減少する可能性がある。
L2の普及がL1に与える影響
イーサリアムとビットコインは、ネットワークの拡張性を高めつつ、セキュリティと分散化を維持するという根本的な課題に直面している。
Cybercapitalの創設者であるJustin Bons氏は、L2プラットフォームがイーサリアムに対して「寄生的」であると主張しており、L2の影響力がイーサリアムのメインチェーンだけでなく、他のブロックチェーンにも広がっていることを警告している。
現状、両ブロックチェーンともVisaやMastercardのような中央集権的なシステムに匹敵する処理速度を実現できていない。
また、L1の利用料金が高額になる傾向がある。
この問題に対処するため、ビットコインではライトニングネットワーク、イーサリアムではArbitrumやOptimismなどのL2ソリューションが注目されている。
L2ソリューションはL1からトランザクションをオフロードする設計となっており、例えばイーサリアムのL2であるArbitrumやOptimismは、複数のトランザクションを1つのL1トランザクションにまとめてコスト削減とスループットの向上を実現している。
ビットコインでは、ライトニングネットワークによりオフチェーンでの取引が可能となり、メインチェーンへの決済は必要最低限に留められる。
L2がもたらす新たな課題
L2ソリューションは、高速な取引と低い手数料を実現する一方で、新たな課題をもたらしている。
L2は取引をL1から切り離すため、L1のセキュリティと経済モデルを脅かす可能性がある。
2023年11月、ArbitrumやBaseなどのL2ソリューションは、イーサリアムL1に1日あたり約20万ドル(約2,960万円)の手数料を支払っていた。
しかし、2024年4月末までにこの金額は1日1万ドル(約148万円)未満にまで激減した。
マイナーとバリデーターへの影響
ビットコインも同様の問題に直面している。取引がライトニングネットワークに移行すると、マイナーが得られる手数料が減少する。
これにより、ネットワークのセキュリティを維持するための経済的インセンティブが失われる可能性がある。
BlockchairのリードデベロッパーであるNikita Zhavoronkov氏は、ビットコインのセキュリティ予算の縮小に対する懸念を表明している。
L2への取引の移行が進むと、L1の手数料が不足し、バリデーターやマイナーがネットワークを守るインセンティブが低下する恐れがある。
長期的な課題と今後の展望
L2ソリューションは、スケーラビリティとコスト効率の面で即時的な利点をもたらすが、L1の長期的な存続可能性を損なう可能性がある。
イーサリアムとビットコインのコミュニティは、ネットワークの拡張性を高めつつ、分散化とセキュリティを維持するという難題に直面している。
L1とL2のバランスを適切に保つことが、ブロックチェーンの将来にとって極めて重要である。
主流の採用が近づくにつれ、これらの課題を解決する緊急性が高まっている。
持続可能なバランスが確立されなければ、これらのブロックチェーンのセキュリティと分散化が今後数年のうちに危機にさらされる可能性がある。
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